国連の活動に対する貢献
アジ研は、国連が目指すグローバルな犯罪防止や犯罪者処遇に関する政策の立案・実施に協力しています。例えば、毎年、ウィーンで開催される国連犯罪防止刑事司法委員会(国連経済社会理事会の機能委員会、略称「コミッション」)に出席し、アジ研の活動や調査研究成果を報告しています。また、アジ研は、各種研修・セミナーのテーマを選定するに当たっては、各国のニーズはもとより、コミッション、国連経済社会理事会、国連総会を通して決定された国連犯罪防止刑事司法プログラムの優先事項を十分に考慮しています。
5年に一度開催される国連犯罪防止刑事司法会議(略称「コングレス」)においても、アジ研は、第10回コングレス以降、ワークショップをコーディネートするなどして積極的に関与してきました。2021年に京都で開催された第14回コングレスにおいても、アジ研は、国連薬物・犯罪事務所(UNODC)及びタイ法務研究所(TIJ)と協働し、「再犯防止:リスクの特定とその解決策」についてのワークショップをコーディネートしました。
ワークショップの議論は、モデレーターから京都コングレス全体会合にその結果が報告され、京都宣言にその内容が反映されました。京都宣言は、法の支配が持続可能な開発の礎となることを確認するとともに、刑事司法分野における技術支援等の国際協力の強化や犯罪防止等のためのマルチステークホルダー・パートナーシップの推進をうたっています。このような理念はまさしくアジ研の長きにわたる国際協力が目指すものに合致しているといえます。
コングレスにおいてアジ研がコーディネートしたワークショップのリスト
回数 | 開催年 | 開催地 | ワークショップのテーマ |
---|---|---|---|
14回 | 2021 | 京都(日本) | 再犯防止:リスクの特定とその解決策 |
13回 | 2015 | ドーハ(カタール) | 女性犯罪者の処遇及び改善更生 |
12回 | 2010 | サルバドール(ブラジル) | 矯正施設における過剰収容に対する戦略とベストプラクティス |
11回 | 2005 | バンコク(タイ) | マネーロンダリングを含む経済犯罪対策 |
10回 | 2000 | ウィーン(オーストリア) | コンピュータ・ネットワークに関連する犯罪 |
コミッションへの貢献
コミッションは、犯罪防止及び刑事司法の分野における国連の政策形成機関であり、国連加盟国の中から経済社会理事会で行われる選挙により選出された我が国を含む40か国のメンバーより構成されています。
アジ研は、国連総会決議46/152「効果的な国連犯罪防止刑事司法プログラムの創設」(1991年12月18日採択)により、国連犯罪防止刑事司法プログラムの一翼を構成するものとされているプログラム・ネットワーク・インスティチュート(PNI)と呼ばれる研修研究機関の一つであるところ、同プログラムを主導する国連薬物・犯罪事務所(UNODC)の求めにより、日本政府代表団とは別に、このPNIとしての資格により、コミッションに参加することとされています。
このように、アジ研の活動は法の支配の推進と深く関係しており、引き続きPNIの一員として国連の犯罪防止・刑事司法分野に貢献していきます。