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当研修所の概要 当研修所の概要

所長からのメッセージ

皆様こんにちは。
新しくアジア極東犯罪防止研修所(アジ研=UNAFEI)の所長に就任いたしました
森永太郎と申します。
このホームページを借りまして一言ご挨拶申し上げます。

 私は、1994年(平成6年)に検事に任官し、以来各地の地方検察庁で現場の検察官として勤務してきましたが、その後、2003年に法務省法務総合研究所国際協力部に配属され、国際協力の仕事に携わるようになりました。以来、時々検察の現場に戻ることはありましたが、多くの年月を国際協力部及びアジ研の教官、次長、部長として過ごしてきました。この間、国際協力機構(JICA)の法整備支援プロジェクトのチーフアドバイザーとして2004年から2007年までのほぼ3年間、ベトナムのハノイで仕事をするという経験もしました。今回の異動は、国際協力部部長からアジ研所長へというものでしたので、ここ東京都昭島市にある建物の中の同じフロアにある一つの部屋から別の部屋へ数メートル動いたに過ぎません。また、私は、2014年4月からアジ研が2017年10月にそれ以前の所在地であった東京都府中市から現在の場所に移るまでの3年半の間、アジ研の次長を務めておりましたので、国連関連機関、そして最古の国連犯罪防止刑事司法プログラムネットワーク機関(PNI)としての業務には慣れております。
 このような時期にアジ研所長に就任したものですから、コロナウィルス感染症の蔓延がアジ研の業務に及ぼした影響について若干お話ししたいと思います。皆様ご存じのとおり、アジ研は、1962年の発足以来、一貫して、東京にある自らの施設に世界中から集まってくる犯罪防止・刑事司法の実務家向けの研修を実施することを主要な業務としてきました。アジ研は、常に高度な内容の大型研修を実施し、参加者が一流の講師陣から最先端の課題について学ぶばかりでなく、研修員が共に生活することにより時間と場所を共有しながら、研修員同士で集中的な討議を重ねることによって、各人自らの能力を高め、併せてそれぞれにとってかけがえのない財産となる、国際的な人的ネットワークを構築する場を提供してきたことに誇りを持ってきました。そして、これらのことは、参加者がアジ研に実際に集うことによってのみ可能であったのです。しかし、いまやこれがコロナ禍により不可能となりました。
 また、アジ研は大型の国際研修を業務の中心に据えていますが、そればかりを行っているわけではありません。その他にもいろいろあります。アジ研に対しては、これまでになく刑事司法や犯罪者更生の分野における特定の国や地域への技術支援を行うことが期待されており、実際、アジ研はこのような期待に積極的に応えてきました。言うまでもありませんが、このような活動は相手と共に十分な共同調査と相手国の関係機関の人々との直接の対話が不可欠で、そのためには数多くの相互訪問が必要になります。しかし、これもコロナのためにできなくなってしまっています。
 しかし、だからといってアジ研はこの事態を黙って見ているわけではありません。本来の業務の手法に替わる手段を講じ、かつ、新たな機器やIT技術を駆使して業務を進めています。オンラインで行う研修やセミナーなどは決して本来の人を集めての活動の代替にはならないのですが、それでも様々なことを行っています。毎年大変人気のあるアジ研の汚職防止国際研修も今年はオンラインで行うことになりますが、国際的なオンラインイベントにつきものの障害である時差や国によって異なる平日・休日などの問題をアジ研がいかに克服するかをご覧いただきたいと思います。また、オンラインシステムの利用、オンデマンド教材の開発あるいはより効果的なインターネットの活用により、これまでの手法による業務の遂行がより豊かなものとなり、研修やセミナーあるいはワークショップなどが一層効率的かつ効果的に行えるようになったと思います。今後は例えば、我が国における国際研修を企画するに当たって、そのための準備会合やプレセミナー、あるいはフォローアップのためのセッションなどにオンラインシステムを活用することにより、本体の国際研修がこれまでになく効果的な、実りの多いものとなることが予想されます。
 それでも、アジ研職員一同は国際研修の参加者の皆様をアジ研の正面玄関で、握手やハグでお迎えすることを夢見ています。また、皆、相手国を訪問し、卓を囲んで実のある議論ができる−そこに現地の美味しいものが並んでいればなお結構ですが−そんな日が一日でも早く来ることを切に願っています。でも、それはそう遠くのことではない、と私は信じています。明けない夜はないのです。皆さん、もうすぐです。

国連アジア極東犯罪防止研修所長

森永太郎
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