第11回「東南アジア諸国のためのグッドガバナンスに関する地域セミナー」(GGセミナー)の開催について
アジ研では,東南アジア諸国における「法の支配」と「良い統治(グッドガバナンス)」の確立に向けた取組を支援し,刑事司法実務家の人材育成に資するとともに,東南アジア諸国間における相互理解・協力を促進するため,2007年から,グッドガバナンスをテーマとする東南アジア地域セミナー(通称:GGセミナー)を毎年1回開催しています。
第11回GGセミナーは,ベトナム最高人民検察院(SPP)とアジ研との共催により,2017年10月17日から同月19日までの間,ハノイのメリアハノイホテルにおいて開催され,参加がかなわなかったブルネイを除くASEAN9か国から,裁判官,検察官及び汚職対策機関等の捜査官ら各2名ずつの合計18名が参加しました。
開会式及び閉講式においては,在ベトナム日本国大使館の梅田邦夫大使及びベトナムSPP副長官のチャン・コン・ファン氏に,それぞれご挨拶いただきました。また,国連薬物・犯罪事務所(UNODC)汚職・経済犯罪局チーフのキャンディス・ウェルシュ氏及びインドネシア汚職撲滅委員会(KPK)部長のギリ・スプラプディオノ氏を客員専門家として招へいし講義をしていただきました。
今回は,GGセミナー開始以来10年が経過したことから,「汚職対策のベストプラクティス−東南アジアにおける10年間の制度的及び実務的発展」を主要テーマとし,各参加者は,当該主要テーマに即した各国の具体的な事例を紹介しました。また,UNODCのウェルシュ氏は,UNODCにおけるここ10年の汚職撲滅に向けた取り組みを腐敗防止条約(UNCAC)の実施を支える立場から講義され,KPKのギリ部長は,汚職撲滅機関の一員の立場からインドネシアにおける汚職取締りに向けた努力について講義されました。
各参加者による発表はどれも,各国の実情を示す非常に興味深いものであり,発表後の討論においては,それぞれの抱える問題について議論が行われました。そして,最終日には,セミナー議長を務めたアジ研所長により,議論の結果が議長総括という形で取りまとめられました。