第8回「東南アジア諸国のためのグッドガバナンスに関する地域セミナー」(GGセミナー)の開催について
アジ研では,東南アジア諸国における「法の支配」と「良い統治(グッドガバナンス)」の確立に向けた取組を支援し,刑事司法実務家の人材育成に資するとともに,東南アジア諸国間における相互理解・協力を促進するため,2007年から,グッドガバナンスをテーマとする東南アジア地域セミナー(通称:GGセミナー)を毎年1回開催しています。
GG8セミナーは,第7回に引き続き,マレーシアの汚職対策機関であるマレーシア反汚職委員会(MACC)及び同委員会の内部組織であるマレーシア反汚職大学校とアジ研との共催により,2014年11月18日から同月20日までの間,開催されたものです。ブルネイとシンガポールが初参加となり,ASEAN全10か国から,捜査官,検察官及び裁判官の合計17名が参加しました。さらに,海外客員講師として,韓国ソウル中央検察庁部長検事リー・ジンス氏及び香港司法省検察局次長級検事チャン・シュク・マン氏の講義がなされ,当所教官からも日本の汚職捜査の現状について発表しましたので,GG8セミナーは,合計13か国の知見を共有する貴重な機会となりました。
今回のセミナーでは,法制度のあり方や反汚職捜査機関の態勢等にとどまらず,その実際の運用や,現実に生じる問題点について,具体的に検討すべく,「汚職事件の捜査,訴追及び公判における現状と問題点」をテーマとし,参加者は,捜査・公判などにおいて,問題のあった具体事例を紹介しました。参加者の発表はどれも,各国の実情を示す非常に興味深いものであり,発表後の討論においては,それぞれの問題につき,活発な議論が行われました。そして,最終日には,セミナー議長を務めたアジ研次長により,討議の結果を取りまとめた議長総括が発表されました。