第9回「東南アジア諸国のためのグッドガバナンスに関する地域セミナー」(GGセミナー)の開催について
アジ研では,東南アジア諸国における「法の支配」と「良い統治(グッドガバナンス)」の確立に向けた取組を支援し,刑事司法実務家の人材育成に資するとともに,東南アジア諸国間における相互理解・協力を促進するため,2007年から,グッドガバナンスをテーマとする東南アジア地域セミナー(通称:GGセミナー)を毎年1回開催しています。
第9回GGセミナーは,インドネシア最高検察庁(AGO)及び汚職撲滅委員会(KPK)とアジ研との共催により,2015年11月24日から同月26日までの間,ジャカルタのJWマリオットホテルで開催し,ASEAN10か国から,捜査官,検察官及び汚職対策機関職員の合計19名が参加しました。また,このセミナーには,香港汚職対策独立委員会(ICAC)の元副委員長で,現在は汚職対策コンサルタントとして世界各国で活躍するトニー・クォック氏を客員専門家として招へいしたほか,開会式には,KPKの副委員長のアドナン・パンドゥ・プラジャ氏,AGO法務国際関係局局長代理のラクスミ・インドリア氏,在インドネシア日本国大使館次席公使の本清耕造氏が,閉会式には,AGO資産回復事務所所長代理のモハンマド・ユスフィドリ・アドヤクサナ氏,KPK渉外ネットワーク育成部長のデディ・ラヒム氏が列席しました。
今回のセミナーでは,「汚職事件の捜査,訴追及び予防における現在の課題とベストプラクティス〜具体的な事例を通じた経験と知識の共有」を主要テーマとし,各参加者は,「資産回復と捜査共助」「汚職の発見及び予防における官民協力」という2つのサブトピックに関する各国の具体的な事例を紹介し,各国の成功事例を共有するとともに,各国の抱えている課題に対する解決策を議論しました。また,トニー・クォック氏による特別講義も行われ,世界各国における汚職対策の成功事例や先進的取組も大いに参考になりました。
各参加者による発表は,外国の法執行機関と連携し,国外に流出した汚職による犯罪収益を追跡,保全及び回復するのに成功した事例や,企業及び一般市民との協力による汚職の予防及び発見に向けた新たな取組など,いずれも各国の汚職対策の実情を示す非常に興味深いものでした。発表後には各国の課題に対する解決策等について活発な議論が行われ,最終日には議論の結果を議長総括という形で取りまとめました。