ケニア非行少年処遇制度研修
ケニアでは、急速な近代化が進行していますが、それに伴って、都市と農村の所得格差の増大、伝統的な家族制度の弱体化によるシングル・マザーの増加、都市への人口集中によるスラムの形成が進行し、都市においても農村においても、コミュニティや家族による、児童の保護機能が低下してきました。その結果、親の指導監督が十分行き届かず、怠学から薬物の使用、ひいては、犯罪や非行に走る少年たちが増加し、大きな社会問題となっています。特に、疲弊した農村から都市部に移動し、ストリート・チルドレンとなっている少年は25万人と言われています。また、ケニアでは、高い失業率のため、地域社会には不良成人も多く、彼らは、非行化した少年たちを影響下に置き、その犯罪者化を促進しています。
ケニアでは、犯罪・非行少年の保護は、ジェンダー・児童・社会開発省児童局が所管し、孤児救済をはじめとする児童福祉を中心に制度が整備されつつありますが、急速な非行少年の増大への対処に苦慮しています。国連アジア極東犯罪防止研修所は、ケニアに対し、1997年以降、毎年複数の教官をJICAの短期専門家として派遣し、17本に及ぶ「児童専門官、児童保護司及び児童収容施設職員のための全国基準」を起草し、併せて、500頁余の実務マニュアルを作成するなどケニアの少年司法制度の充実・強化を支援し続けています。
ケニア非行少年処遇制度研修は、アジ研教官の現地での継続的な支援活動をより定着させ、ケニアの制度の一層の向上を図ることを目的として、2000年から開始されたものです。そこで、本研修では、ケニアの非行少年保護に携わる一線職員が、日本及び諸外国の非行少年処遇制度と運用を具体的に学びます。毎回下記の項目を実施しています。
- (1)ケニアの非行少年保護の現状と問題点の発表・検討。
- (2)日本及び諸外国の非行少年保護制度に関する基本的な知識の付与。
- (3)ケニアにおける非行少年の保護に応用することを念頭に置いて、日本の非行少年処遇の実務を体験学習する。
- (4)上記(1)、(2)及び(3)を踏まえ、ケニアの少年保護制度及び保護関係職員研修制度を改善させるための現地における具体的な行動計画を策定する。
回数 | 期間 | 研修参加者 | 人数 | 概要等 |
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第13回 | H25.1.30 〜H25.2.22 |
ジェンダー・児童・社会開発省職員、内務省(矯正局・保護局)職員、裁判官、警察官 | 11 | ・概要 ・Newsletter141 |
第12回 | H24.2.14 〜H24.3.9 |
ジェンダー・児童・社会開発省職員、内務省(矯正局・保護局)職員、裁判官、警察官 | 14 | ・概要 ・担当教官コメント ・Newsletter138 |
第11回 | H23.2.15 〜H23.3.11 |
ジェンダー・児童・社会開発省職員、内務省(矯正局・保護局)職員、裁判官、警察官 | 15 | ・概要 ・担当教官コメント |
第10回 | H22.2.15 〜H22.3.11 |
ジェンダー・児童・社会開発省職員、内務省(矯正局・保護局)職員、裁判官、警察官 | 12 | ・概要 ・担当教官コメント ・Newsletter132 |
第9回 | H20.11.5 〜H20.11.27 ※高官は H20.11.5 〜H20.11.14 |
ジェンダー・児童・社会開発省職員、内務省職員、裁判官、警察官、裁判所職員、保護司 | 12 | ・Newsletter128 |
第8回 | H19.10.15 〜H19.11.9 |
内務省児童局職員、児童専門官、保護観察官、保護司、裁判官、矯正施設職員、警察官 | 11 | ― |
第7回 | H18.10.10 〜H18.11.2 |
内務省児童局職員、保護観察官、裁判官、矯正施設職員警察官など | 16 | ― |
第6回 | H17.10.17 〜H17.11.11 |
児童局、警察、裁判、矯正局、保護観察・アフターケア局 | 16 | ・Newsletter119 |
第5回 | H16.10.12 〜H16.11.5 |
児童局、警察、裁判、矯正局、保護観察・アフターケア局 | 16 | ・Newsletter116 |
第4回 | H15.11.4 〜H15.11.28 |
児童局、警察、裁判 | 10 | ・Newsletter113 |
第3回 | H14.10.28 〜H14.11.22 |
児童局 | 9 | ― |
第2回 | H13.11.5 〜H13.11.29 |
児童局 | 8 | ― |
第1回 | H12.10.2 〜H12.10.24 |
児童局 | 9 | ― |