刑事政策公開講演会 実施報告
2022年2月8日、2021年度刑事政策公開講演会を開催しました。
本講演会は、1982年以来毎年、日本刑事政策研究会及びアジア刑政財団との共催により実施しているもので、今回で第40回という節目を迎えました。
新型コロナ感染症の流行を受け、前回に引き続き完全オンライン形式で開催する運びとなりましたが、日本を含め53の国・地域から定員一杯である500名の参加登録をいただき、当日も41の国・地域から357名という多くの方に御参加いただきました。また、定員超過により参加登録できなかった方々からも複数問合せをいただき、本講演会への関心の高さがうかがえました。
このように盛況な講演会が開催できましたのは、刑事政策に関し、調査研究や実践に基づく意義深い講義を提供くださった講師のお二人の御貢献によるものです。ここに改めて感謝申し上げます。
講演会の講師・演題
セルソ・J・N・マナタ氏
ポルトガル・次長検事
「受刑者の人権と司法〜ポルトガルの実践〜」
セルソ・J・N・マナタ氏 講演内容(PDF: 236KB)
セルソ・J・N・マナタ氏 講演スライド(PDF: 1,236KB)
シャッド・マルナ氏
北アイルランド・クイーンズ大学犯罪学教授
「犯罪学における‘当事者の経験’の研究、そして犯罪からの離脱」
シャッド・マルナ氏 講演スライド(PDF: 1,474KB)
講演会概要
マナタ氏からは、「拘禁自体が処罰なのであって、処罰されるために拘禁されるのではない」という考えのもと、拘禁に伴って制約を受ける権利がある一方で、保障されるべき受刑者の権利を適切に擁護するためのポルトガルの制度について説明いただきました。
マルナ氏からは、同氏が提唱する犯罪からの立直り(デシスタンス)理論について説明をいただくとともに、当事者自身すなわち「経験者としての専門家」の参画による調査研究やアドボカシー活動について紹介いただきました。
各講義の後に設けた質疑応答の時間では、参加者から多数の質問が寄せられ、講師との活発な議論が行われました。